東京高等裁判所 平成4年(行ケ)107号 判決 1995年9月13日
神奈川県川崎市幸区堀川町72番地
原告
株式会社 東芝
代表者代表取締役
佐藤文夫
訴訟代理人弁理士
鈴江武彦
同
村松貞男
同
布施田勝正
同
木村満
同
竹花喜久男
同
大村雅生
同
勝村紘
訴訟復代理人弁理士
中村和年
東京都千代田区霞が関三丁目4番3号
被告
特許庁長官 清川佑二
指定代理人
荻島俊治
同
秋吉達夫
同
井上元廣
同
土屋良弘
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた判決
1 原告
特許庁が、平成2年審判第22446号事件について、平成4年3月26日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は、昭和58年5月13日にした特許出願(特願昭58-83619号)を原出願とする分割出願として、昭和62年5月29日、名称を「パネル」とする発明(以下「本願発明」という。)につき特許出願をした(特願昭62-133786号)が、平成2年10月26日に拒絶査定を受けたので、同年12月20日、これに対する不服の審判の請求をした。
特許庁は、同請求を同年審判第22446号事件として審理したうえ、平成4年3月26日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年4月30日に原告に送達された。
2 本願特許請求の範囲第1項記載の発明(以下「本願発明1」という。)の要旨
基体との間にケーブル類等の配線を可能にする空間部を形成し、上記基体に沿って敷設されて床面、壁面、天井面等を形成する複数のパネルの基本ユニットをなす同一形状のパネル板であって、
前記床面、壁面、天井面等の任意の位置からの前記ケーブル類等の引き出しを可能とするべく前記パネル板の辺部に形成された所定の係止部を備えた切込み部と、この切込み部の上記係止部に係止させて嵌め込まれ、前記パネル板面と同一面となるように取り付けられる盲目板と、この盲目板が取り付けられた前記パネル板に貼付される剥離可能な表面材とを具備したことを特徴とするパネル。
3 審決の理由
審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願発明1は、実願昭56-70670号(実開昭57-181840号)の願書に添付した明細書及び図面を撮影したマイクロフイルム(昭和57年11月18日特許庁発行、以下「引用例1」といい、その発明(考案)を「引用例発明1」という。)及び実願昭50-111065号(実開昭52-24718号)の願書に添付した明細書及び図面を撮影したマイクロフイルム(昭和52年2月21日特許庁発行、以下「引用例2」といい、その発明(考案)を「引用例発明2」という。)に記載された発明と周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項に該当し、特許を受けることができないとした。
第3 原告主張の審決取消事由の要点
審決の理由中、本願発明1の要旨、各引用例の記載事項の各認定は認める。本願発明1と引用例発明1との一致点・相違点の認定は、審決の認定以外にも相違点があるとの留保の下に認める。
審決は、本願発明1と引用例発明1との対比において、両発明の切込み部に存在する重要な相違点を看過し(取消事由1)、相違点(1)及び(2)についての判断並びに同(3)についての判断を誤り(同2、3)、その結果誤った結論に至ったものであるから、違法として取り消されなければならない。
1 取消事由1(相違点の看過)
審決は、引用例発明1の導電ケーブル引き出し溝と本願発明1の切込み部との間の相違点として、相違点(1)すなわち係止部の有無及び同(2)すなわち盲目板の有無しか認定していないが、誤りである。
すなわち、両者には、上記二つの相違点以外にも、開口面積において大きな相違があるにもかかわらず、審決はこれを看過する誤りを犯している。
(1) 本願発明1の切込み部は、コンセント端子等を取り付けることができ、これらを取り付けない場合には盲目板を必要とする大きさのものである。
すなわち、本願の特許請求の範囲第1項には、本願発明1の切込み部の大きさを明示する記載はなく、被告の主張するとおり、切込み部の開口面積が一定以上であることも、切込み部にコンセント端子を取り付けることも規定されていないが、切込み部に取り付けられる盲目板が必須の要件として規定されており、また、本願明細書(甲第2~第6号証)の発明の詳細な説明には、「発明が解決しようとする問題点」の項に、「その目的とするところは、信号ケーブルや電力ケーブルの引出しを容易ならしめると共に、レイアウト変更に対しても簡易に対処することのできる実用性の高いパネルを提供することにある。」(甲第2号証明細書5頁5~8行)と、「問題点を解決するための手段」の項に、「本発明は、基体上に配設されて床面、壁面、或いは天井面を構成し、上記基体との間にケーブル類等の配設を可能とする空間部を形成するパネル板に、盲目板やケーブル取出し治具、または電源コンセント等が嵌込み可能な連通部を、例えば前記パネル板の辺部に凹部切込み等として予め設け、この連通部を通して前記ケーブル類の取出しを可能としたことを特徴とするものである。」(同5頁11~18行)、「パネル板に、盲目板やケーブル取出し治具、または電源コンセント等が嵌込み可能な連通部が、例えば前記パネル板(原文の「パルネ板」は、「パネル板」の誤記と認める。)の辺部に凹部切込み等として予め設けられているので、この連通部を通して前記ケーブル類を容易に取出すことができる。」(同6頁3~7行)、「実施例」の項に、「凹部切込み部41から連通部として設けられている。この切込み部41に、例えば第5図(a)(b)に示すようなケーブル取出し治具42(11)や電源コンセント43を嵌込む。」(同11頁8~11行)などと記載されていることからすれば、本願発明1の切込み部は、コンセント端子等を取り付けることができ、これらを取り付けない場合には盲目板を必要とする大きさを有するものであることが明らかであるから、その開口面積は、単にケーブルを引き出すに足りるだけのものではなく、コンセント端子等の取り付けに支障がなく、これらのものを用いない場合には、盲目板を装着しなければ、フロアを構成したときに安全性が確保できない程度のものであると判断されるべきである。切込み部の開口面積の最終的決定は、パネル板を構成する材料によるパネル板の機械的強度の相違、切込み部に装着される各種コンセント端子類の相違、パネル板によって構成されるフロアの用途・目的の相違、フロア歩行上の安全性の確保等の諸要素に関連して、常識的に定められるものである。
そして、本願の特許請求の範囲第1項において、「この切込み部の上記係止部に係止させて嵌め込まれ、前記パネル板面と同一面となるように取り付けられる盲目板」が必須の構成要件とされていることは、被告も認めるところであり、他方、フロア上にフロアを貫通するような透孔がある場合でも、引用例発明1のもののように単にケーブルを引き出すだけのための、例えば直径数mm以下の小孔であるならば、その上にカーペットを敷くことにより、盲目板を使用しなくとも支障を来さないものと考えられる以上、本願発明1の切込み部の開口面積は、盲目板を必須の構成要件とする上記規定により、これを必要としない程度のものでないことが明瞭に示されているということができ、その具体的数値は、場合に応じ、上記の諸要素により常識的に定められるのである。
また、コンセント端子の装着については、本願発明1の特許請求の範囲に記載されていないとはいえ、上記のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明において、本願発明の目的やそれを達成するための手段に関連して明記されているところであるから、本願発明1の構成の解釈に当たり、これを考慮に入れることが許されるのは当然というべきである。
(2) これに対し、引用例発明1の切込み部(導電ケーブル引き出し溝)の開口面積は、単に導電ケーブルが引き出せるだけの程度の大きさであると解釈される。
すなわち、引用例1の、「導電ケーブル引き出し孔8を覆う各床面材3の端縁部3aは、導電ケーブル9を引き出す場合、その導電ケーブル9の引き出し方向に弾性変形して、その導電ケーブル9を外側から押し込むように支持させることができるとともに、導電ケーブル9を引き出さない場合は、床面Y上に導電ケーブル引き出し孔8が露出するのを防いでいる。」(甲第7号証明細書6頁7~14行)、「導電ケーブル引き出し溝7…を一致させて導電ケーブル引き出し孔8を形成して、開口面積を大きくしたり、また、導電ケーブル引き出し溝7…を一致させないで、小さな開口面積のまゝであつてもよく、導電ケーブル9の太さや本数に合わせて適宜に使い分けができる。」(同7頁3~8行)との記載からすれば、引用例発明1の切込み部の開口面積は、引き出す導電ケーブルの径に相当する孔が形成できればよく、ケーブルを引き出さない場合でも盲目板で塞ぐ必要のない程度ということになる。
(3) 両発明における切込み部の開口面積の上記相違は、両発明における技術思想の相違を端的に反映するものであり、これが、本願発明1の推考の難易の判断をするうえで重要な意味を有することは明らかであるにもかかわらず、審決は、上記相違点を看過したため、これにつき全く検討することなく結論に至っており、審決のこの誤りがその結論に影響することは明らかである。
2 取消事由2(相違点(1)及び(2)についての判断の誤り)
審決は、相違点(1)及び(2)につき、「パネル板の辺部に形成された、ケーブル類等の引き出しのための切込み部に、所定の係止部を形成し、切込み部の係止部に係止されて嵌め込まれ、パネル板と同一面となるように取り付けられる盲目板を具備させて、ケーブルを引き出さない場合に切込み部を塞ぐことは、引用例1に記載されている発明に、引用例2に記載された発明を適用し、当業者が容易になしうることである。」(審決書8頁6~13行)と判断したが、誤りである。
本願発明1の「辺部に形成された切込み部の係止部は、・・・嵌め込まれる盲目板を係止するためのもの」(審決書7頁12~14行)であり、引用例2に審決認定の技術事項(同7頁16行~8頁5行)が記載されていることは認めるが、これを前提にしても、上記審決の結論が出てくるものではない。
(1) 前述のとおり、引用例発明1の切込み部は、導電ケーブルが引き出せればよく、導電ケーブルを引き出さない場合でも表面材で塞ぐだけで十分で、特に盲目板で塞ぐ必要のない大きさの開口面積のものであり、そこでは、切込み部を盲目板で塞ぐということは、全く考慮されていない。
また、引用例発明1の切込み部(導電ケーブル引き出し溝)は、導電ケーブルを引き出す部分にのみ形成されるものではなく、床面を形成する全てのパネルの辺部にあらかじめ形成されるものであるから、導電ケーブルが引き出されない溝の存在は避けられず、しかも、溝は床面材の端縁部のみによって覆われている(甲第7号証明細書6頁7~14行)のであり、このような状態が、溝が大きくなると床面上の歩行や機器の設置に支障を来すことは明らかである。パネル板の辺部に形成される導電ケーブル引き出し溝の径を大きくとることは、パネル板の荷重強度に大きな影響を与え、この部分から亀裂を生じ、パネルが破壊されるおそれがある。したがって、引用例発明1の下で、導電ケーブル引き出し溝の径を大きくとるという発想は、決して当業者が容易に得ることのできるところではない。
このように、引用例発明1自体に、盲目板で切込み部を塞ぐという発想がない以上、引用例2に記載された盲目板(カバーフロアパネル)を引用例発明1の切込み部に適用するとの考えが容易に出てくることはありえない。
被告は、大径のケーブル等をも引き出せるように溝の径を大きくとるような場合は、その溝を盲目板で塞いだ方が好ましいことは当業者の容易に想到しうるところであると主張するが、引用例発明1が上記のようなものである以上、そこから、大径のケーブル等をも引き出せるように溝の径を大きくとるという発想自体が生まれてこないから、溝を盲目板で塞ぐとの発想が生まれることもありえない。
(2) 仮に、引用例発明1の切込み部を盲目板で塞ぐことを考えたとしても、引用例発明2の盲目板(カバーフロアパネル)の構造から、これを、辺部に形成された引用例発明1の切込み部に適用することには次のような問題があり、これを引用例発明1の切込み部に適用することが容易であるとすることはできない。
すなわち、引用例発明2の盲目板(カバーフロアパネル10)は、その縁にテーパー12を形成し、ベースフロアパネル9に設けられた床穴の縁に向かって広がるテーパー11とを組み合わせることによって、テーパー11とテーパー12との接面により床上面が同一面となるように取り付けられるものであるから、これを引用例発明1や本願発明1のようにパネル板の周縁部に設けた切込み部に適用した場合、その構造上、常時作用する垂直方向の力のみを考えても、隣接するパネル板や部屋の周縁部との間には熱膨張によるフロアの持ち上がりを防止するために通常設けられる隙間があるため、辺部と反対側のテーパ一部11で生じた側方外側に作用する力によって変位し、盲目板とパネル板の安定な状態を得ることができないものである。また、偶発的にせよ斜めや横方向の力が作用すると安定した嵌め込み状態が保てなくなり、地震等により、大きな横方向の力が作用した場合には、辺部の隙間が大きくなり、カバーフロアパネルが落下する事故が生ずる危険もある。
このような問題があることから、引用例発明2の盲目板(カバーフロアパネル)を引用例発明1や本願発明1におけるようにパネル辺部に形成された切込み部に適用することが考えられないことは、引用例2の図面第2図には、従来例として辺部に達する切込み部を有するパネル板が示されているにもかかわらず、実施例である同第3図には、パネル板内部に開口が形成されたパネルが示され、辺部に達する開口については何ら言及していないことからも明らかである。
被告は、本願発明1において「係止部」の構造は限定されていないから、本願発明1でいう「係止部」は引用例発明2のテーパ構造によるものでないということはできない旨主張するが、原告が主張するのは、引用例発明2のテーパ構造による盲目板は、その構造上、引用例発明1のパネルの辺部に適用することは、当業者にとって容易に想到しえないものであるということであり、本願発明1の係止部に引用例発明2のテーパ構造によるものが包含されるかどうかではない。
3 取消事由3(相違点(3)の判断の誤り)
審決は、相違点(3)につき、「パネル表面に貼付される表面材を剥離可能とすることは本願出願前周知であり、パネル板に貼付される表面材を剥離可能なものとした点は、単なる設計事項と認める。」(審決書8頁15~18行)としたが、誤りである。
(1) まず、パネル表面に貼付される表面材を剥離可能とすることは本願出願前周知であるとの認定が、誤りである。
被告が上記周知事項の存在を示すものとして援用する実開昭52-30623号、同昭51-137931号、同昭53-164031号のマイクロフイルム(乙第1~第3号証)に記載されているのは、いずれも、家屋などの床面の全面に敷かれる床敷物であり、引用例発明1や本願発明1のように、各フロアパネル毎に別々に設けられているものではなく、また、剥離可能とする目的は、敷物交換時に剥離を容易にすることであり、本願発明1のように盲目板を固定するような機能を有するものではない。このように、表面材を単なる敷物と考え、床面の美感だけを考慮するのであれば、床の全面に剥離可能な床敷物を採用することになるはずである。
(2) 次に、審決認定の周知技術を前提にしても、パネル板に貼付される表面材を剥離可能なものとした点を単なる設計事項とすることはできない。
本願発明1において剥離可能な表面材を使用したのは、一方で、必要に応じて着脱可能なように係止されなければならず、他方、切込み部が辺部に設けられていることから、人間の歩行等による僅かな移動によっても脱落する危険があるため、その防止もしなければならないという、盲目板に関する二つの相反する要求を一挙に解決するためであり、このような技術思想、すなわち、盲目板と剥離可能な表面材とを組み合わせる技術思想のないところに、表面材を剥離可能にする発想が容易に生ずることはない。
引用例1には、貼付される表面材を剥離可能とすることにつき何ら記載がないのみでなく、そもそも、そこには、盲目板を使用する技術思想自体が開示されていないのであるから、盲目板と剥離可能な表面材とを組み合わせる技術思想がそこから得られるはずがなく、したがって、表面材を剥離可能とする発想の生ずる余地もない。
引用例2には、表面材を使用する思想自体、開示されいない。
(3) 以上のとおりであるから、引用例発明1のパネル板に貼付される表面材を剥離可能なものとするか否かを単なる設計事項とすることはできない。
第4 被告の反論の要点
審決の認定判断は正当であり、原告主張の審決取消事由は、いずれも理由がない。
1 取消事由1について
本願発明1の要旨は前示のとおりであり、そこでは、切込み部の開口面積について何らの規定もされていないから、床面からのケーブルの引き出しを可能とするものであれば、すべての開口面積のものが本願発明1の切込み部に含まれることは明らかである。
原告は、本願明細書の発明の詳細な説明の記載を引用して、種々主張するが、盲目板の装着と開口面積との間に必然的なつながりがあるわけではなく、また、コンセント端子等を切込み部に取り付けるのは、本願の特許請求の範囲第2項の発明に係ることであって、本願発明1とは係わりのないことであるから、これらの点からも原告主張は失当といわなければならない。
引用例発明1の切込み部(導電ケーブル引き出し溝)は、床面からのケーブルの引き出しのために設けられたものであるから、これを可能とする開口面積を有するものであることは明らかである。
したがって、本願発明1と引用例発明1とにおいて切込み部の開口面積に相違はなく、これを相違点と認めなかった審決に誤りはない。
2 取消事由2について
(1) 引用例発明1の切込み部(導電ケーブル引き出し溝)は、導電ケーブルを引き出すための溝であるから、引き出す導電ケーブルの径に応じてこれを引き出すに十分な大きさに形成されるものであることは自明であり、導電ケーブルに太いものも細いものもあるのは当然のことであるから、大径の導電ケーブルを引き出す場合に溝の径を大きくとることは、当業者が容易に想到しうることである。
引用例1に、引用例発明1の切込み部(導電ケーブル引き出し溝)を盲目板で塞ぐことが記載されていないことは認めるが、引用例2に、フロアパネルに盲目板(カバーフロアパネル)を使用することが記載されていることは原告も認めるところである。
そして、引用例発明1の切込み部(導電ケーブル引き出し溝)につき大径のケーブル等をも引き出せるように溝の径を大きくとることが必要な場合、床面上の人の歩行やワゴン等の車の走行、備品の載置等の支障になるか否かを考慮して、盲目板で塞ぐ必要があるか否かを決定することは、引用例1及び同2に接した当業者にとって容易に想到できるところである。
したがって、引用例発明1の切込み部(導電ケーブル引き出し溝)に同2の盲目板(カバーフロアパネル)を適用して本願発明1のものと同じ構成にすることが、当業者にとって容易であったことは、明らかである。
(2) 引用例発明2のカバーフロアパネルは、床上面からかかる荷重に対してはベースフロアパネルからの分離が不可能であるが、床裏面から床上面への力に対しては分離が容易であるように設けられている(甲第8号証明細書3頁2~12行及び第3~第6図参照)から、床裏面から床上面への方向の力が作用しない限り、カバーフロアパネルが外れることはなく、同発明のテーパ構造による嵌め込みが斜めや横方向の力の作用によって不安定になるとは考えられない。
また、パネル板間や部屋の周縁部に隙間を持たせて施工することはありうるとしても、わずかの幅で済むことであり、その隙間を、床上に載置する備品の重量や人の歩行やワゴン等の走行に対して十分な強度を持たせるため相当厚いはずのカバーフロアパネルの厚さほど大きくとる必要はないから、引用例発明2のテーパ構造による嵌め込み部をパネル辺部に適用したとき、カバーフロアパネルが辺部に向かって変位することがあったとしても、その辺部に連接するベースフロアパネルや部屋の周縁部によって係止され、カバーフロアパネルの落下は生じない。
そもそも、本願発明1において「係止部」及び「盲目板」の構造は何ら限定されていないから、そこでいう「係止部」及び「盲目板」は、引用例発明2のテーパ構造によるものも包含しているのである。
いずれにしても、原告の取消事由2の主張は、失当である。
3 取消事由3について
床面に貼付される表面材を剥離可能とすることが本願出願前周知であることは、実開昭52-30623号、同昭51-137931号、同昭53-164031号のマイクロフイルム(乙第1~第3号証)に示されたとおりである。
このような周知技術を前提にした場合、これを引用例発明1のパネルの表面材に適用することに格別の困難が伴わないことは、明らかである。
原告は、本願発明1において剥離可能な表面材を使用したのは、盲目板を必要に応じて着脱可能に係止することとそれが脱落する危険を防止することの相反する要求を一挙に解決するためであり、このような技術思想、すなわち、盲目板と剥離可能な表面材とを組み合わせる技術思想のないところに、表面材を剥離可能にする発想が容易に生ずることはないと主張する。
しかし、剥離可能に貼付された表面材の床面との接着はそれが剥離可能であることの当然の結果として弱いものであるから、そのような弱い接着に盲目板の固定についての大きな役割を期待できないことは明らかであり、また、盲目板の固定は、このような表面材に頼らなくとも十分可能なことも明らかであるから、原告の主張は失当である。
第5 証拠
本件記録中の書証目録の記載を引用する。書証の成立はいずれも当事者間に争いがない。
第6 当裁判所の判断
1 取消事由1(相違点の看過)について
(1) 前示のとおり当事者間に争いのない本願発明1の要旨によれば、本願発明1の切込み部は、「ケーブル類等の引き出しを可能とする」もので、この切込み部には、「パネル板面と同一面となるように」盲目板が取り付けられるものであることが認められる。
このように、本願発明1の切込み部がケーブル類等の引き出しを可能とするために設けられたものである以上、その開口は、引き出すことの予定されるケーブル類等の径に応じて、それを引き出すに十分な大きさに形成されなければならないことは当然のことであり、本願発明1において、切込み部の大きさについて特段の規定を設けていないのは、このことを当然の前提としているものと認められ、これを、原告主張のように、切込み部にコンセント端子を取り付けることができる大きさでなければならないと解する理由はない。
また、盲目板は、切込み部の開口の大きさに合わせて、その大きさが決められるものであることは、これを切込み部に取り付けてパネル面と同一面となるようにするためであることから明らかであり、本願発明1の切込み部が床面のみならず壁面、天井面にも形成されるものとされていることからすれば、盲目板を使用する目的は、必ずしも、原告主張のようなフロアを構成したときの安全性の確保のためだけに限られるものではなく、また、一般に盲目板が開口の大小を問わず開口を隠すための単なる装飾的目的のためにも用いられるものであることは当裁判所に顕著な事実であるから、本願発明1において盲目板を用いることが、切込み部の大きさについて特段の限定を加えることを意味しないことは明らかである。
したがって、本願発明1の切込み部につき、原告主張のような開口面積の限定があるものということはできない。
(2) 一方、引用例発明1が、審決認定のとおり、「床面の任意の位置からの前記ケーブル類等の引き出しを可能とすべくパネル板の辺部に形成された切込み部・・・を具備したパネル」(審決書6頁10~13行)である点において、本願発明1と一致することについては、当事者間に争いがない。
このように、引用例発明1の切込み部(導電ケーブル引き出し溝)が導電ケーブルなどを引き出すために設けられたものである以上、その開口は、本願発明1と同じく、引き出すことの予定される導電ケーブルなどの径に応じて、それを引き出すに十分な大きさに形成されなければならないことは明らかである。このことは、引用例1(甲第7号証)に、「導電ケーブル引き出し溝7…を一致させて導電ケーブル引き出し孔8を形成して、開口面積を大きくしたり、また、導電ケーブル引き出し溝7…を一致させないで、小さな開口面積のまゝであつてもよく、導電ケーブル9の太さや本数に合わせて適宜使い分けができる。」(同号証明細書7頁3~8行)と明示されているところである。
(3) 以上の事実によれば、本願発明1と引用例発明1とにおいて、切込み部の開口面積に相違があるということはできず、審決がこの点を相違点として取り上げなかったことに、相違点の看過はない。
原告の取消事由1の主張は、理由がない。
2 取消事由2(相違点(1)及び(2)についての判断の誤り)について
(1) 本願発明1と引用例発明1とが、その切込み部の開口面積に相違がないことは前示のとおりであり、したがって、両者の切込み部については、審決認定のとおり、本願発明1が所定の係止部を備えているのに対し、引用例発明1がこれを備えていない点(相違点(1))、本願発明1が盲目板を備えているのに対し、引用例発明1がこれを備えていない点(相違点(2))が相違するのみであることが明らかである。
そして、当事者間に争いのない審決認定の引用例2の記載事項(審決書5頁2~15行)によれば、引用例発明2は、審決認定のとおり、「任意の位置にケーブル等用の穴を形成することを目的とするパネルにおいて、床穴を有するベースフロアパネル9に、床穴を開ける場合は分離し、床穴を塞ぐ場合には嵌め込んで用いる『カバーフロアパネル10』を具備すること、床穴の縁にはテーパー11が形成され、このテーパー11はカバーフロアパネル10を係止すること及びベースフロアパネル9とカバーフロアパネル10(原文の「12」は「10」の誤記であると認める。)を組み合わせた状態では床上面は同一面となる」(同7頁16行~8頁5行)ものであることが認められる。
この引用例発明2の「床穴」、「カバーフロアパネル10」、「テーパー11」が、それぞれ、本願発明1における「切込み部」、「盲目板」、「係止部」に該当することは明らかであるから、本願発明1と引用例発明1との上記相違点(1)、(2)に係る構成は、引用例2において、引用例発明1と同じく任意の位置にケーブル等用の穴を形成することを目的とするパネルについて開示されているということができ、そうすれば、引用例発明1に引用例発明2を組み合わせて、本願発明1の構成に想到することは、当業者にとって容易であることは明らかであるというほかはない。
(2) 原告は、本願発明1と引用例発明1の切込み部の開口面積に差異があることを前提として、引用例発明1には盲目板で切込み部を塞ぐという発想がなく、この発想のない引用例発明1に引用例発明2の盲目板を適用するとの考えは容易に出てくることはありえないと主張する。
しかし、原告主張の前提自体が採りえないことは前示のとおりであるうえ、引用例1(甲第7号証)の「導電ケーブル9を引き出さない場合は、床面Y上に導電ケーブル引き出し孔8が露出するのを防いでいる」(明細書6頁12~14行)との記載の示すとおり、引用例発明1において、孔を覆うものが床面材であるとはいえ、導電ケーブル引き出し孔の露出を防ぐという発想は明らかに存在するのであり、一方、引用例2(甲第8号証)の「構造簡単にして容易に床穴を設けたりまたは床穴を塞ぐことが行なえる」(同号証明細書4頁4~5行)との記載が示すとおり、引用例発明2のカバーフロアパネル(盲目板)は床穴を塞ぐためにも用いられているのであるから、引用例発明1に引用例発明2の盲目板を適用するとの発想は極めて自然に出てくるものといわなければならず、これを否定する原告の上記主張は理由がない。
また、原告は、引用例発明2の盲目板と本願発明1の盲目板との使用態様などの差異を種々主張するが、本願発明1の要旨に示されるとおり、その盲目板の構成は、「切込み部の上記係止部に係止させて嵌め込まれ、前記パネル板面と同一面となるように取り付けられる盲目板であって、それ以上の規定はなく、引用例発明2のカバーフロアパネル(盲目板)がこれと同一の構成を有するものであることは、前示のとおりであるから、原告の主張は本願発明1の要旨に基づかない主張として、採用に値しない。
原告の取消事由2の主張は採用できない。
3 取消事由3(相違点(3)についての判断の誤り)について
(1) 本願発明1と引用例発明1とが、審決認定の相違点(3)のとおり、パネル板に貼付される表面材が、本願発明1にあっては、剥離可能なものであるのに対して、引用例発明1にあっては、剥離可能かどうか不明な点(審決書7頁6~9行)において相違することは、当事者間に争いがない。
そして、床面に全面に貼付される表面材を剥離可能とすることが、本願原出願前周知であることは、原告も認めるところである。
本願発明1のパネルは、切込み部を備え、そこから導電ケーブルなどを必要に応じて引き出すことを予定するものであることは前示のとおりであるから、この目的に応じ、切込み部に関する作業が必要になったときに床面を露出できるように、その表面材を剥離可能とすることは、当業者にとって、上記周知技術を適用して容易に推考できることというべきであり、この適用に何らかの困難があることは、本件全証拠によっても認めることができない。
(2) 原告は、本願発明1において剥離可能な表面材を使用したのは、必要に応じて着脱可能なように係止されなければならず、他方、切込み部が辺部に設けられていることから、人間の歩行等による僅かな移動によっても脱落する危険があるため、その防止もしなければならないという、盲目板に関する二つの相反する要求を一挙に解決するためであり、このような技術思想、すなわち、盲目板と剥離可能な表面材とを組み合わせる技術思想のないところに、表面材を剥離可能にする発想が容易に生ずることはないと主張する。
しかし、仮に、表面材を剥離可能に貼付する構成が盲目板の固定に一定以上の効果を奏するとの原告主張が正しいとしても、この構成が、原告主張の効果以外に上掲の効果を奏することは明らかであり、しかも、後者の効果のみで、上記構成を採用する動機としては、十分であり、原告の上記主張は、独断にすぎるものといわなければならない。
(3) 以上のとおりであるから、「パネル表面に貼付される表面材を剥離可能とすることは本願出願前周知であり、パネル板に貼付される表面材を剥離可能なものとした点は、単なる設計事項と認める。」(審決書8頁15~18行)とした審決に誤りはない。
原告主張の取消事由3も理由がない。
4 以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく、その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 芝田俊文 裁判官山下和明は、転補のため署名捺印することができない。 裁判長裁判官 牧野利秋)
理由
1.本願は、昭和58年5月13日に出願した特願昭58-83619号の一部を昭和62年5月29日に特許法第44条第1項の規定により分割して新たな特許出願としたものであつて、その発明の要旨は、昭和63年8月16日付け手続補正書、平成1年10月6日付け手続補正書及び平成2年8月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて特許請求の範囲の第1項及び第2項に記載されたとおりの
「(1)基体との間にケーブル類等の配線を可能にする空間部を形成し、上記基体に沿つて敷設されて床面、壁面、天井面等を形成する複数のパネルの基本ユニットをなす同一形状のパネル板であつて、
前記床面、壁面、天井面等の任意の位置からの前記ケーブル類等の引き出しを可能とするべく前記パネル板の辺部に形成された所定の係止部を備えた切込み部と、この切込み部の上記係止部に係止させて嵌め込まれ、前記パネル板面と同一面となるように取り付けられる盲目板と、この盲目板が取り付けられた前記パネル板に貼付される剥離可能な表面材とを具備したことを特徴とするパネル。
(2)基体との間にケーブル類等の配線を可能にする空間部を形成して上記基体に沿つて敷設されて床面、壁面、天井面等を形成する複数のパネルの基本ユニットをなす同一形状のパネル板であつて、
前記床面、壁面、天井面等の任意の位置からの前記ケーブル類等の引き出しを可能とするべく前記パネル板の辺部に形成された所定の係止部を備えた切込み部と、この切込み部の上記係止部に係止させて嵌め込まれ、前記パネル板面と同一面となるように取り付けられる盲目板と、この盲目板が取り付けられた前記パネル板に貼付される剥離可能な表面材と、前記盲目板に代えて前記切込み部にそのコンセント端子が前記パネル面に露出するように取付けられるコンセントとを具備したことを特徴とするパネル」にあると認められる。
2.これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭56-70670号(実開昭57-181840号)の願書に添付した明細書又は図面を撮影したマイクロフイルム(昭和57年11月18日特許庁発行)(以下、「引用例1」という)には、床面の任意適宜箇所から導電ケーブルを引き出せる床板を提供することを目的として、「基礎面Xとの間に導電ケーブルなど9の配線を可能とする空間部Zを形成し、基礎面X上に並べて敷設されて床面Yを形成する床板A」が記載されており、更に「床板Aの平板体部1の辺側面10には導電ケーブル引き出し溝7′が形成され」、「平板体部1の天板1a上には床面材3が糊剤などを用いて貼着され」、「床面材3の端部3aは、導電ケーブルの引き出し溝7′によつて形成される引き出し孔を覆う」ことが記載されている。
また、同じく実願昭50-111065号(実開昭52-24718号)の願書に添付した明細書又は図面を撮影したマイクロフイルム(昭和52年2月21日特許庁発行)(以下「引用例2」という)には、「フリーアクセスフロアパネルであつて、床穴を有し、その縁に上に向かつて広がるテーパー11を有するベースフロアパネル9と、該ベースフロアパネルの床穴に嵌合するようにその縁にテーパー12を有するカバーフロアパネル10とからなることを特徴とするフリーアクセスフロアパネル」が記載されており、「フロアの任意の位置に容易にケーブル等用の穴を形成する」ことを目的とすること、「ベースフロアパネル9とカバーフロアパネル12は分離することによつて、ケーブルや空調用の穴を開けることができ」、「組合わせた状態では床穴を塞ぐことができ」、また「組合わせた状態では床上面は同一面となる」ことが記載されている。
3.そこで、本願の特許請求の範囲第1項に記載の発明(以下「第1発明」という)と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載の「基礎面X」、「空間部Z」、「床板A」、「辺側面10」、「導電ケーブル引き出し溝7′」及び「床面材3」は、それぞれ第1発明の「基体」、「空間部」、「パネル」、「辺部」、「切り込み部」及び「表面材」に相当し、引用例1に記載の「床板Aの平板体部1と床面材3」が第1発明の「パネル板」に相当することが明らかであるので、結局、両者は、「基体との間にケーブル類等の配線を可能にする空間部を形成し、上記基体に沿つて敷設されて床面を形成する複数のパネルの基本ユニットをなす同一形状のパネル板であつて、前記床面の任意の位置からの前記ケーブル類等の引き出しを可能とすべくパネル板の辺部に形成された切込み部と、前記パネル板に貼付される表面材とを具備したパネル」である点で一致し、次の点で相違する。
(1)パネル板の辺部に形成された切込み部が、第1発明のものは、所定の係止部を備えているのに対し、引用例1に記載されている発明のものはこのような係止部を備えていない点、
(2)第1発明のものは、切込み部の係止部に係止されて嵌め込まれ、パネル板と同一面となるように取り付けられる盲目板を備えているのに対し、引用例1に記載されている発明のものはこのような盲目板を備えておらず、ケーブルを引き出さない場合は、表面材がケーブル引き出し孔を塞いでいる点、
(3)パネル板に貼付される表面材が、本願発明のものは剥離可能なものであるのに対し、引用例1に記載されている発明のものは、剥離可能か否か不明な点。
4.そこで上記相違点について検討する。
相違点(1)及び(2)について
第1発明の、辺部に形成された切込み部の係止部は、特許請求の範囲及び図面の記載から、嵌め込まれる盲目板を係止するためのものと認められる。
一方、第1発明と同様任意の位置にケーブル等用の穴を形成することを目的とするパネルにおいて、床穴を有するベースフロアパネル9に、床穴を開ける場合は分離し、床穴を塞ぐ場合には嵌め込んで用いる「カバーフロアパネル10」を具備すること、床穴の縁にはテーパー11が形成され、このテーパー11はカバーフロアパネル10を係止すること及びベースフロアパネル9とカバーフロアパネル12を組合わせた状態では床上面は同一面となることが引用例2に記載されていることから、パネル板の辺部に形成された、ケーブル類等の引き出しのための切込み部に、所定の係止部を形成し、切込み部の係止部に係止されて嵌め込まれ、パネル板と同一面となるように取り付けられる盲目板を具備させて、ケーブルを引き出さない場合に切込み部を塞ぐことは、引用例1に記載されている発明に、引用例2に記載された発明を適用し、当業者が容易になしうることである。
相違点(3)について、
パネル表面に貼付される表面材を剥離可能とすることは本願出願前周知であり、パネル板に貼付される表面材を剥離可能なものとした点は、単なる設計事項と認める。
そして、第1発明の奏する効果は、引用例1及び引用例2に記載された発明から当業者であれば予測することができる程度のものであつて、格別のものとはいえない。
5.したがつて、本願の第1発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明および前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない。
以上のとおりであるから、特許請求の範囲第2項に記載の発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よつて、結論のとおり審決する。
平成4年3月26日
審判長 特許庁審判官(略)
特許庁審判官(略)
特許庁審判官(略)
平成2年審判第22446号
審決
神奈川県川崎市幸区堀川町72番地
請求人 株式会社東芝
東京都千代田区霞が関3丁目7番2号 鈴榮内外國特許事務所内
代理人弁理士 鈴江武彦
東京都千代田区霞が関3丁目7番2号 鈴榮内外國特許事務所内
代理人弁理士 村松貞男
東京都千代田区霞が関3丁目7番2号 鈴榮内外國特許事務所内
代理人弁理士 坪井淳
昭和62年特許願第133786号「パネル」拒絶査定に対する審判事件(昭和62年12月23日出願公開、特開昭62-296055)について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成リ立たない。